男性 大学教員 62才
「このところ体がだるくて、お酒もうまくないんですよ」
【脉状】浮いてやや数、革を帯びている。
明らかに何かの病因による微熱と肩・首・目が重い病証を思わす脉状である。なぜ微熱・だるさが出たのかの病因は各経絡の虚実診断により判断すればよい。つまり経絡原理主義の原則にのっとって診断しすればよいのである。さすれば診断即治療で即効を実現するのである。
腹気鍼診断
しっかり気海が締まり中脘締まり、巨闕・下脘が革を帯びている。
奇経診断
左合谷―左申脈
証
腎虚心脾実証右から、復溜を補う段階で脉締の方向が出る。其の母経絡肺は原穴である、そして霊道、商丘に下圧瀉法をくわえ合谷・申脈に瀉法をする。これで風邪が治るのであり難経69難の臨床成功症例なのである。
治療
ステンレス0番5分鍼にて、右復溜・右太淵に補法。
ステンレス1番1寸鍼にて左霊道・左商丘に下圧瀉法。
陽経の処理は左合谷申脈に下圧瀉法を加えたところ良脉を得た。
病因病証的診断
「さて、これはいわゆる寝冷えですね、寝てて、寒いなって(肺虚)感じなかったですか?」
「暖かくなってお布団変えたんですよ。ちょっと寒かったですね」
「雨にも降られたな、昨日」
「湿気(腎虚)にやられ寒さに侵されたんですね」
「明らかに寒さと湿気にやられた風邪ですね(腎肺)。飲みすぎ食べ過ぎ(脾実)でも肝臓(胆虚―心実)のだるさとかではないですね」
「軽くすっきりしました。帰りに飲めますね」
「ハイハイ大丈夫ですよ」
考察
初出:2017/05/02
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