みなさん、忘れていませんか?鍼灸とは何か、ということを。
経絡の虚実を鑑み、補瀉を行うだけけである
-八木下勝之助翁ー
虚実を見て、虚だったら補う、実だったら瀉す、これだけじゃないんですか。
その結果、西洋医学的な病名がついたものが「治る」のではないでしょうか。
病名によって治療のやり方がいろいろあるわけではありません。
やることはただひとつ、「経絡の虚実を鑑み、補瀉を行う」です。
子午を使う機会がない、というお悩み(?)が目に入りました。
意味がわかりません。子午とは補法、虚している経絡を特定するために有効なもの。
「経絡の虚実を鑑みる」ことが鍼灸であるなら、子午の出番がないことはそうないのではないでしょうか。
確かに氣鍼医術の子午鍼法は偏り病症に対して用いられますので(だって補法だから)偏りのない症状に対して使うことがない、と思われるのかもしれません。
しかし。
子午から奇経、本治法への連動に置いて虚している経絡の特定、確認に子午の出番がないことはまずありません。
さらに私の脳内の「?」を増やしたのは
自閉症とか鬱とか子宮体癌とか、心臓に水が溜まったとか
このような患者さんが増えているのに、どこで子午を使うのだ、というお嘆きです。
ますます意味がわかりません。
精神科や婦人科や心臓外科のドクターが嘆くのでしたらわからないでもないですが、虚実を見て補瀉を行う鍼灸師が向き合っているのは西洋医学の病名ではないはずです。
病名がなんであろうと、虚実を見て補瀉を行うことによって、それが適正な処置であれば症状になんらかの改善が見られるはずです。
どんな病名であれ虚実の偏りは必ずあります(きっぱり。
それを調整すれば、最終的には自閉症や鬱や子宮体癌や心臓に水がたまった患者さんのQOLを高めることにつながるではないですか。
心の病も同じです。
鍼灸治療の結果心の病が治ったとしても、それは心を治すつもりで治したのではなく、体をあるべき状態に整えたことによって、心のあり方も整えられたということでしょう。
自閉症が鍼灸治療によって治ったとしても、それは心のケアを行ったということとは別物です。
おっと、脱線。
虚実をきちんと見極めていらっしゃるならば、自閉症の患者さんに対して子午が役に立たないということはあり得ません。