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2025/07/13開催の氣鍼医術臨床講座における、理学療法士が鍼をすることについての、当会代表葛野玄庵の講義内容書き起こしです。
腰を痛めて自己治療をしたが、いつもに比べて治りが悪い。
年齢によって筋肉の質が変わり、硬くなってくる。
歳をとった鶏を「ひね鶏」というように「ひね腰」であると言えよう。
それに対し、氣鍼医術のアプローチは3〜4センチ刺入する深刺しがあるが、電気治療(パルス)をやってみようと思いついた。
脈もみない治療を2回やった。
「腰のどこが痛いですか?」という痛い箇所の確認ももあまりされなかった。
うつ伏せで背中の腎兪大腸兪あたりに、8箇所くらいパルスを通した。
2回の治療で9割ほど回復。
脉も見ずにこれだけ効かせるとはすごいなあ笑。
この結果に、どのような見解を持たれますか。
それと話はちょっと変わりますが、ブログにも出てきたドライニードリング
アメリカでは理学療法士がやっている、保険も効く、それがやがて日本にも入ってくるかもしれない。
病院の理学療法士に鍼が取り入れられたとしたら、現在の鍼灸師の立場はどうなるか、そう危惧する人たちがいる。
これは50年前から言われていることである。
柔道整復師さんが鍼灸をする、医師も50年前から鍼を取り入れている。
その頃から私の師匠である福島弘道先生は、「我々の日本鍼灸術ならば全く心配ない。なぜなら、脉をみて経絡を整える鍼と、筋肉をほぐしていく西洋医学的な鍼、電気治療など、それは仕事が違う。」ということを言っていた。
「柔道整復師の鍼、お医者さんの鍼、これらは全部”ついで鍼”である、ついでにやっている。我々開業鍼灸師はついでになどやっていない。これが本当の仕事だ。本当の鍼しかやれないし、それをやることによって独立独歩の営業が成り立つ。それは確信がある。我々が、脈診、証、補瀉の治療法をやっている限り、なんの怖いことがある。」
ただ、ドライニードリングも電気治療も一定の効果はある。なぜなら鍼というものは小学生が刺しても効くから。
では、何が効くか効かないかということになると、あらゆる病気に対して氣鍼医術/経絡治療は対応できる。
内科外科婦人科耳鼻咽喉科歯科、全科に対応できる。
今流行りのコロナ/ワクチン後遺症に対しても対応できる。
それはなぜかというと、我々に病名は関係ないから。
コロナ、風邪、インフルエンザ、なんでもいい、ただ脉をみて12経絡を診断してその虚実を平らにするだけの話である。
それが悪性腫瘍であっても同じ。
これが、ドライニードリングを理学療法士さんがどんどんやっていくことに対する答えだと思う。
だから脉をみないで鍼をするなんて我々にとってはありえない。
鍼灸術とは脉を見ることである。
脉締という名前は私がつけましたが、良い脈、脉締というものを基準にすれば、今手に持っているものが自分に合うかどうかがわかる。
葛根湯を飲めばいいか、麻黄湯を飲めばいいか。
自分に合っているかどうかが、脉を見ればわかる。
脉締という良い状態になっているかどうかを基準にする。
ただ、脉が締まるかどうかがわかるまでには、ちょっと時間がかかる。
そのためには、毎日自分の脉は見る。
朝昼晩、風呂に入った時も。
すると、この空調の中にいる1時間で脉が変わる。
自分にとって一番体調のいい時の脉はどんなのかなあ、ということがわかる。
かつて50年前に福島弘道先生に治療してもらった時の脉状はいまだに憶えている。
フワッフワッと風邪を引いたかのような脈状だったのが、治療が終わった後には中脉のあたり、小さく締まって、艶があって、滑らかで、不整脈が一切ない律動的な脈、そして脈が細くなる。
手を触れて気持ちのいい脈、ああ、これがいい脈状というものなのかとその時わかった。
その頃の私の脈状はやや浮いて、やや速め、常に酒が残っている状態、それがとてもわかりやすかった。
今回、私が言いたいのは、理学療法士さんや接骨院さんが鍼をやったって、「この技術がある我々は全く気にすることはない」ということです。